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世界で一番ゴッホを描いた男の犬のレビュー・感想・評価

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この映画のおかげで世に出回ってる複製画に対する見方が少し変わった。そりゃ全てが全てじゃないにせよ、20年間もゴッホの絵を複製してきたチャオシャオヨンという男はとても純粋で本当にゴッホを崇拝していて絵描き人として応援したくなる。彼が職人か芸術家か?彼は職人であり芸術家でもある。例え今評価されなくても5年後10年後、はたまた死んだ後に評価されるかもしれない。それでいいんだ。大切なのは己のアイデンティティを信じ続けること。

オランダのアムステルダムから彼の複製画を何万枚も注文してくることから取引先は高級画廊だと思ってたら実際はただの土産物屋でガッカリしているシーンは同じアジア人としてなんか悲しさと笑いが混合していて面白かったなあ。
店の人「原画だよー!さあ買った買ったー!」シャオヨン「それ俺が描いたやつ」店の人「本当に?あんたか!すげえな!」シャオヨン「う、うん(10倍の値段で売られとる、、搾取されとる、、)」

そして、彼が本物のゴッホの自画像を鑑賞したシーンもとても印象的だった。その真っ直ぐな眼差しから「色が全然違う」と20年間も描いてきた男だからこそ出る言葉の説得力と重み。「素晴らしい」とかいう安易な感想じゃないところに共感できるな。あの『夜のカフェテラス』も実際に見てみると絵と同じように空が青くて観てるこっちまで興奮したよ。
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