JIZE

バンブルビーのJIZEのレビュー・感想・評価

バンブルビー(2018年製作の映画)
4.0
1980年代を舞台にある事情で地球に飛来して身を隠すこととなった地球外生命体"バンブルビー"と父親の死がきっかけで後向きの孤独な少女の交流を描いたSFアクション映画‼︎まず冒頭の惑星サイバトロンの激戦で劣勢に追いやられたオプティマスプライムを筆頭にトランスフォーマーのメカ同士がガシガシやり合うオープニングアクトから戦闘描写の凄さに目を奪われた。原題の「Bumblebee」は直訳で"マルハナ蜂"。いわゆる主人公B-127の名称に帰結する。簡潔に云えば描き込みがユニークでメカ同士が激突する異次元的な世界観を分離させてもメカが人間と同居する日常ねたや学園カーストなど主演ヘイリー・スタインフェルド演じる少女チャーリーの視点軸でシナリオがグイグイ絡みそこを主眼にしたのがむしろ本作の勝因に思えました。いわゆる抑圧された日常から飛び出すフツウの青春物語ないし普遍的な弱者のワンスアゲインものとしても強者に打ち勝つカタルシスが全編に張られている。ヘイリー主演の『スウィート17モンスター(2017年)』でも感じたが過去の回避できないトラウマが原因で拗らせた後向きの人間が再生を遂げていく部分では両者共通する映画だったように感じた。また本作で意外としっかり者のチャーリーと戦闘的な外見とは別に心優しい内面を備えるバンブルビーとの関係が『ベイマックス(2014年)』でのヒロとベイマックスをまんま彷彿とさせる。特別な間柄だったように思えた。敵メカからフルボッコ状態にされバンブルビーが戦闘モード化する速度も遅すぎる問題はあったが全体的にはユニークなメカと人間の日常ねたが青春かつコミカルに配されてるのでそこだけでもオリジン的な立場で製作した甲斐がある優れた作品に思えた。

→総評(記憶を宿した少女を守る新たな英雄ロボ)。
総じてトランスフォーマーシリーズ別個で切り離しても完成度共に高質で細部まで行き届いた青春SFジュブナイル映画でした。また監督がトラビス・ナイトで『KUBO クボ 二本の弦の秘密(2017年)』でも魅せたような丹念に主要キャラを取り巻く世界観を折り畳み細部までこだわり抜いた手際の良さが本作でも活きていたように感じました。例えば中盤,チャーリーが同い年の悪友連中との勝負事をするくだりで飛び込みを一度断念した主人公が終盤のあるシーンで伏線が回収されるようにある友人のために一歩を踏み出す光景は控え目に言っても本作の重大なベストアクトではないか。また割と終盤まではボコボコに機能停止近くまで追い込まれたビーがある局面をきっかけに戦闘モードとなる緩急も見所ではあった。作品の不満は少女と近所に住む黒人少年の生温い恋愛パートや軍事側の人間たちが絡むシーンは割と本編にほぼ無関係で退屈なくだりであった。80年代の名曲音楽と主人公チャーリーという個性溢れる女の子に作品そのものが救出された感はある。個人的には悪友女の家にビーとチャーリーが真夜中に出向き生卵をその一家の車のボンネットに付着させ木っ端微塵にぶっ壊すくだりで本作に100億点が加算されました。というようトランスメカ特有のシリーズ意外の要素やオリジン的な誕生譚みたく立場の起源を普遍的かつ高質に爆誕させたという見方ではこの上なくユーモア満載で監督の手際の良さ含めてだいぶ期待値を超えブチ抜いてきた佳作であった。
JIZE

JIZE