ひすい

希望のかなたのひすいのネタバレレビュー・内容・結末

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

シリア難民の男を主人公に繰り広げられるフィンランドのコメディヒューマンドラマ。どこかかもめ食堂にも似た、シュールでフィンランドらしい面白さがあった。まず感じたのは、フィンランドの人もたまたま一緒になった難民の人も、無愛想で無表情なのに親切で優しいこと。映画全体の寒そうで暗い雰囲気が、人の温かさを引き立てていたように感じる。唐突のジャックラッセル登場で和んだし、淡々と行われるコントのようなやりとりも良かった。一人ひとりの謎のキャラクターも好き。しかし、難民に対する差別や制度の描かれ方は極めて厳しい。あくまでもクールでユーモラスに、しかしまっすぐに問題提起をしていた。ラストの主人公の捉え方は個人によるのだろうか。信仰も名前も捨てて社会に溶け込もうとしていた主人公はフィンランド解放軍の一人に刺されてしまう。世話になったレストランに迷惑をかけまいと、犬を連れて出ていったのだろう。最後に浮かべる笑みが切ない。信仰も名前も捨てずに警察へ向かう妹をどんな気持ちで見送ったのだろう。是非もう一度鑑賞したい作品。
ひすい

ひすい