きよ

希望のかなたのきよのネタバレレビュー・内容・結末

希望のかなた(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

教授のオススメ、カウリスマキさんの作品。はじめて鑑賞してきました。

地獄のような状況を抱えた人の横で、明るい調子の音楽が熱く掻き鳴らされている(でもその歌詞は生への失望やヤケクソな雰囲気ではちきれそう)。
難民指定するに足らぬ状況だと言われた故郷のアレッポは、爆撃で息も絶え絶えの様相である。

日常の流れの中に、見たくないものがそっと息づいている、それを、すごく絶妙なバランスで、1時間半にそっと込めたような雰囲気だったように思う。

妹さんの、死ぬのは簡単だから、生きたいわ、という言葉が重たい。
果たして死ぬのは簡単だろうか、と、自分の置かれている状況を見て思う。
外聞や、方法や、恐怖の克服やら、あれこれ考えてみるに、死ぬ方が難しいような気がする。生きているだけなら、漫然としてでも生きていけるのである。
一方で、妹さんのセリフは、難民の生活での真実なのだろうというのも頷ける。

この、生死のエネルギー、もとい価値観の逆転が恐ろしい。

けれども、映画は全く悲壮でない。タイトルにも違和感はない。

不思議なことです。
きよ

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