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希望のかなたのmoのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.5

【難民の青年が希望の地で見た厳しい現実】

内戦が激化するシリアから逃れ、北欧フィンランドに辿り着いた青年カーリドと、彼を雇い入れるレストランオーナーのヴィクストロム。
彼等の触れ合いを通じて、今、世界で社会問題となっている難民問題を見つめ直す。


巨匠アキ・カウリスマキ監督の『ル・アーヴルの靴みがき』に続く難民三部作の第2作。
とても有名な監督ですが実はこの作品が初見。
お洒落な色使いと、シュールな絵で笑いを生み出すセンスは天才的!
キャストの使い方もいいですね、登場人物がみんな無表情で感情が読めない分、シリアスなシーンでも面白いシーンでも存在感を放っていました。


そして何より、作品に込められたメッセージ性。
希望を胸にフィンランドにやってきたカーリドが、難民申請を断られたり、ネオナチに酷い仕打ちを受けたり…胸が痛くなる場面も多々。
だけどそんなカーリドを放っておけないぶっきらぼうなレストランの従業員達に、ひとりの人間としての正しい在り方を教えられた気がしました。
たとえ国としてできることがなくても、人としてできることはきっとある。
あのレストランの中にこそ、青年の希望があったのだ。
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