品川巻

ビッグの品川巻のレビュー・感想・評価

ビッグ(1988年製作の映画)
4.9
2回目の鑑賞。
小学生の時以来久しぶりに観たけど、流れが完璧すぎてびっくり。
特に「凍らせてから溶かしたみたいね」のセリフが途中の伏線回収になってるのとかお手本で頭が上がらないんだけど、ピアノのシーンや子供部屋のシーンみたいに、分かりやすい見せ場があって目を惹く工夫も盛り沢山で、本当におもちゃ箱みたいな映画。
ロケ地になったおもちゃ屋"FAO Schwarz"は大分内装が変わってたけど、久々に帰った実家に置かれたガラクタが宝物に見えるようなあたたかい感覚は、映画で感じた印象と相違なくて嬉しかった。銀座の博品館みたいに、今後も誰かの思い出であり続けてほしい。

牛乳に人探しの広告が載ってるのも、動いてる人形が実はコンセント繋がってないのもさりげない描写なのに、現実/非現実を同時進行で描くのがうますぎる。思春期に親友より恋人が優先されていくのもほろ苦い。

スイートコーンの表面だけぽりぽり食べてるあどけないトム・ハンクス(中身は少年)も可愛いけど、ヒロインがトランポリンで飛び過ぎて不格好になるのも愛おしかったし、「見た目が老けても心は子供と大して変わらない」みたいな大きいテーマに即してた気がする。

「怖いから殴るのよ」「本当に大人なのは素直でいること」「私はその年を生きたわ」
思春期が過去になった今だからこそハッとさせられるセリフもあるし、『スタンド・バイ・ミー』と同じく小学生じゃなくて大人が観るべきジュブナイル映画。
品川巻

品川巻