間々田陽紀

女と男の観覧車の間々田陽紀のネタバレレビュー・内容・結末

女と男の観覧車(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

※この映画の良かったところは、時代背景に合わせた素敵な音楽と丁寧な当時の背景を再現している映像美くらいのように思われました。やたらと長いセリフも物語の重厚さに全く繋がっていなくて、まさに空回りだったと思います。それとミッキーがストーリーテイラーのように観客に語り掛けるシーンもちょくちょく出てくるのですが、この演出も一貫性が感じられませんでした。

※ジニーの連れ子であるリッチーが火放火する精神的な病を抱いている設定で登場しているのですが、正直敢えて登場させる必要はなかったと思います。勿論ジニーの病的な要素を子供の様子を描くことで補っているのかもしれませんが、この子だけにフォーカスしても一つの物語が出来てしまうくらいなので不要だったと思います。

※ジニーがキャロライナに危険が迫っていることを知らせる電話を途中で止めてしまいキャロライナがギャングに殺されるという流れも、底に流れている女の本性みたい?なものが実に中途半端な表現となっていたように思われます。

※ミッキーという青年の人物像も中途半端で劇作家を目指す若者の割には、全体的に軽い感じで描かれており最後まで視点の定まらない言動ばかりで何の魅力も感じられない人物となっていました。

※ウディ・アレンがこの映画の中で《観覧車》や《メリーゴーランド》を意識的に背景に写し込んでいるのは、《恋に惑わされ、次第に破滅に向かっていく男と女の悲喜劇》といった女と男の浮き沈みはいつの時もグルグルと同じところを回り続けていると言いたかったのでしょうか?

※ジニーがキャロライナに抱く感情の推移を観ていて、フランソワーズ・サガンの《悲しみよこんにちは》結末を思い出してしまいました。もっとも立場は逆転していますがね。
間々田陽紀

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