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女と男の観覧車のNightCinemaのネタバレレビュー・内容・結末

女と男の観覧車(2017年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ほんと面白かった~。
ウディ・アレンらしく登場人物は割とネジが飛んだ人物ばかりで気が休まる暇がなく、ユーモアに富んだ作品。

愛が重くなりすぎて自分も相手も追いつめてしまっている恋愛の典型。余裕をなくした年上って年下からしたら手に負えないし、追えば逃げたくなる男性の心情がよく分かる作品。

ミッキーとジニー、って舞台が遊園地らしくディズニーのようなネーミング。プレイボーイでありながら最終的に一番まともだと思えるヒーロー的人物に仕上がってる所がさすが『ミッキー』。

色んなことが巻き起こる脇でリッチーがジニーの有り余った熱を放射するかのように方々で火をつけまくってるのもシュールで面白い。

登場人物はみんな愛が欲しくてジタバタしているわけだけど、この映画で一番愛が足りてないのは間違いなくリッチーだと思う。

ジニーって結局、周りの誰のことも愛していないことが分かる。自分のことしか見ていないし、その割に自分のことも愛せていない。昔は女優で注目されていて、綺麗な衣装を着てお芝居にも出て…だから今のこの私は本当の私じゃないしこんな所で終わる女じゃないの、っていう怒りや不満でパンクしてる。そのことが全身から滲み出ていて。

最後ミッキーが家に来るシーンは痛々しさMAX。こんな一大事にまでミッキーが来ることを予想してかドレスアップしている。

登場人物の心情に合わせて光の当たり方が変わるのも見応えがあった。嫉妬や見栄、羞恥心、その人の本心・本質が照らし出されているようで聖書画を思い出してしまった。キャロラインはマリア的。

そういうことを伝えたかったのかは分からないけど、愛って「私のこと見て見て!」は本物じゃない。でもうまくできない自分のことも時に愛さないといけない。そういうのをジニーの怒りの淵にひしひしと感じさせられる映画だった。
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