ぱた

アダム:ゲイタから来た少年のぱたのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

ドキュメンタリー。

アルビノ狩りと呼ばれる虐殺行為の存在を知ったのは大学受験の頃でした。アルビノ狩りの目的は、アルビノには幸福や富をもたらす、或いは医療的な価値があると堅く信じられているからだと方々で聞き、土着信仰的な要素のある課題なんだなと学術的興味の範疇で捉えていました。

時を同じくして、タンザニアで魔女狩りと称して女性が虐殺されている現状を知りました。身寄りの無い女性、或いは資産を持つ女性。女性なら誰でも良いのです。魔女だと騒ぎ立て、呪術医から「その女は魔女である」と言質を取っ手しまえば、後はなぶり殺し、資産を奪えば良いのです。彼らの観念で言えば、そこに罪は残りません。

タンザニアにおける呪術医への支持は国民の93%にのぼり、疾病、傷害、未来の展望までもが呪術医に委ねられています。人々は彼らを指針に生きているのですから、そこに疑いを持ちません。

宗教、文化、風習。これらに該当する事情に関して、あれこれ言うのは難しいことです。その人は生活の様々な繰り返しの中で、その人らしさを作られる訳ですから、自国の文化と違うからとこちらの倫理観との相違を盾に糾弾することは出来ないと思ってしまいます。思っていました。

でも、そんな客観性でこの現実を受け入れることは、やはり私個人としての罪業的観念が悲鳴をあげます。真っ当な信仰心からの行動でしょうか?アルビノの遺体は約900万円の価値をつけられて売買されます。またアルビノの女性にはエイズを治す力があるとされ、強姦事件も相次いでいます。赤の他人からの被害だけでなく、肉親から脅かされる方もいるのです。土着信仰を盾にした営利目的のように思えてしまいます。

善悪の概念は国によって、或いは人によって変わります。もちろん、教育は一つの解決案です。新しい世代には有効だろうと思います。しかし、単に現代医学的、或いは社会的な知識によって、それが変化するというのは楽観的な意見だとも思います。人は自分に心の安寧もたらす観念に正解を置いてしまうものだと思うからです。

2015年タンザニア政府が呪術医の呪術的行為を禁止にするよう声明を出しました。それと同時期に国連よりアルビニズム啓発デーが制定されましたが、それを知るのは現地の方よりも興味のある他国の人間の方が多いのかもしれませんね。

結局、遠い大陸の話として自ら動くこともしない屑なのですが、個人的で勝手な考えとして、知らないでいるよりは知っていた方が良いと思っています。

興味があれば鑑賞してみても良いのではないでしょうか。
ぱた

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