あつぼう

ボビーのあつぼうのレビュー・感想・評価

ボビー(2006年製作の映画)
3.8
1968年6月5日、その清廉さとカリスマ性でこの年の大統領選をリードしアメリカの希望となったボビーことロバート・F・ケネディが、アンバサダーホテルで暗殺された。本作は、そんな世界の運命をも大きく変えた歴史的1日にスポットを当て、暗殺現場となったアンバサダーホテルに偶然居合わせた名も無き人々が織り成す多彩な人間模様を“グランド・ホテル形式”で綴り、当時の世相を鮮やかに再現するとともに、アメリカの人々が失った“希望”の大きさに思いを馳せるアンサンブル・ドラマ。

監督は大好きやったエミリオ・エステベス。チャーリー・シーンより彼が好きでした。この映画の撮る事が彼の念願の夢やったらしく、その意気込みは映画にあらわれてました。
製作総指揮はアンソニー・ホプキンス。キャストは豪華すぎるぐらいのオールキャストが揃ってます。なによりも凄いって思ったのが、80年代に婚約してたエミリオとデミ・ムーアが夫婦役で共演してるところ。あれから20年近く経ってるとはいえちょっと衝撃的でした。さらに凄いのはデミの撮影当時の旦那のアシュトン・カッチャーまで出演してるんです。
エミリオの監督作やから集まったと思うけど、ハリウッドってほんま凄いところですよね。

この映画はロバート・ケネディにスポットを当てる映画ではなく、彼が暗殺されたアンバサダーホテルに居合わせた人種や階級や職業の違う22人の人々にスポットを当てた映画です。
決して派手な展開はなく淡々と進んでいき、何の接点もない人々がロバート・ケネディを信じ全てを託してるって部分で繋がっています。
最後の彼のスピーチを見守る彼らの目には希望という光が宿ってました。
その希望を一瞬で打ち砕いた銃弾・・・。暗殺はアメリカの歴史って思ってしまう一瞬でした。
群像劇としては出来がいいと思いました。群像劇といえばアルトマンの映画を思い出してしまうけど彼亡き後、こういう映画を撮ってくれる監督がいるのは嬉しい事です。
少し欲を言うならば、もう少し人物の背景を深く描いてくれた方がそれぞれのエピソードが生きてきたと思います。

1968年6月5日にアメリカの希望とまで言われてたロバート・ケネディが銃弾に倒れたのですが、その彼の言動がどれだけの人達から指示されていたのか分かる映画でした。
今の日本の政治家と違い用意された言葉を読むことはせず、自分の生の言葉で人々に呼びかけるから信用され支持を得たんでしょうね。映画の中でも彼の実写が効果的に使われてるけど、そのつど彼の言葉の素晴らしさに感動しました。

この映画は観る人を選ぶ映画やと思うので、誰にでもオススメって訳にはいかないですが、個人的にはかなり好きな映画になりました。
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