あつぼう

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々のあつぼうのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ヒトラー政権下で反ナチスを掲げ抵抗運動を行なった学生グループ“白バラ”の紅一点、ゾフィー・ショルの壮絶な最期を描いた真実の物語。
ゾフィーが大学構内で逮捕され、わずか4日後に“大逆罪”によって処刑されるまでの詳細を、90年代に東ドイツで発見された尋問記録を軸に忠実に再現、新たなゾフィー像を浮かび上がらせるとともに、巨悪に敢然と立ち向かった一人の若き女性の勇気と悲愴な運命をスリリングに描き出してます。

ヒトラー政権下では発言の自由が奪われ、誰もが怯えて暮らしてました。
自分の言いたい事も言えずにただヒトラーを崇拝する日々。そして愛する家族を敗戦濃厚な戦争で奪われる日々。そんな中で自分達の命をかけてまで抵抗運動をおこなった白バラのメンバー。彼らの活動がどれだけドイツの人達に響いたか分からないけど、心の奥底では彼らの活動に賛同したかった人もたくさんいてたと思います。でも表立ってそんな事をしたら待ってるのは死です。

抵抗運動をおこなってたという事が証明されれば処刑されるという緊張感の中でのゾフィーとロベルト・モーア尋問官とのやりとりは手に汗握りますよ。次々と尋問されながらもゾフィーは話を作り上げて尋問をかわしていきます。その甲斐あって釈放されると思った寸前に事態は思わぬ方向にむかいます。
ここがゾフィーの運命の分岐点であって、この時に責任転換しておけば生き残れたのに、ゾフィーは最後まで自分の信念を貫き死を持って最後の抵抗をします。それは彼女の兄も一緒で二人の強い意志が伝わってきました。でも正義を押し通して死ぬ事になんの意義があるんでしょう。
どうせなら生き残ってた方がまだ闘える可能性もあったのに・・・。
ヒトラーに媚を売ってまで生きたくなかったのかな。
少し可哀そうやったのが、妻子ある仲間のクリストフ。彼はゾフィーと兄が仲間の反対を押し切って危険をおかしてまでビラをまいた事によって逮捕されます。もしゾフィーが危険をおかさなかったら誰も死ぬ事もなかったかもしれないです。
あのビラをまいたことによって仲間までが逮捕されていきます。
生後4ヶ月の子供がいてるクリストフは絶対に生き延びたかったはずです。それを思うと凄く悲しかったです。

戦時中の映画やけど戦闘シーンなどは一切なく淡々と重い雰囲気ですすんでいくけど、強烈に訴えかけてくる映画です。観終わって考える事がたくさんあった映画でした。

この映画の処刑シーンはちょっとビックリしますよ。
まさかこんな処刑方法とは思ってもいなかったので・・

ジャケットで空を見上げてる彼女なんですが、映画の中でも何度となく空を見上げます。
あの大空の下でもう一度自由に暮らしたいって思ってたのかも。
でもその思いは叶いませんでした・・・。
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