これをたった一人のクリエイターが作り上げたというのが驚き。退廃的な世界を舞台にコミカルと不気味さが同居するキャラクター達が動き回る手作り感満載のストップモーションアニメで、ギャグ要素多めの冒険モノとしてちゃんと娯楽作になってるのが意外だった。
永遠の命を手に入れた代償として生殖能力を失った人類が、地下の労働力として開発した人工生命体マリガンから繁殖の秘密を探るという任務を負った一人の男の話で、上層に住む高等な人間と地下に住む下等生命体の対比が「エリジウム」「スノーピアサー」みたいな社会的格差の象徴になってたね。
キャラクター達がこの世に存在しない言語で喋るのが本作の不思議な無国籍感を盛り立ててるんだけど、1600年も経てば言葉も全然変わっちゃうということなのかな。普段会うこともない人間とマリガンで言葉が通じるのも変だけど。
地下に蠢く生物たちの気味悪さが格別で、個体によってペットみたく懐いたり凶暴な残酷性を持ったりするのが面白い。あと血の描写が妙にリアルで目に焼き付いた。
ラストがやけにあっさりなのが拍子抜けした。
