AKIRA

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing ManのAKIRAのレビュー・感想・評価

-
スタンドアローンコンプレックス。その用語が上手い。
赤の他人同士との知識や経験の並列化(共有化)の果てに産出されていく、同じ思想を持つようになった人々同士が単独で事件を起こす。もちろん無計画だが、外部からは同一犯による一連の事件的に見える。それはまるで自我で動いているように見えて広告に突き動かされいらないものまで欲しいと思い込まされている現在の物資主義における消費し続ける人々のようだ。笑い男事件と根本は一緒だが対局に至る存在タチコマが描かれているのも面白い。並列化(共有化)の果てにゴースト(自我)らしきものを獲得したのかどうか。並列化による没個性ではなく個性の獲得。そのテーマも惹かれる。
もちろんサスペンス的内容も良き。電脳硬化症と呼ばれる電脳化社会ならではの病と政治的利権が絡むワクチン認可における与党の隠蔽。
サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」からの引用も好きだ。草薙素子とAoiがハンチング帽を逆向きに被るのもホールデンへのオマージュですね。
あらためて重厚なストーリーだった。
AKIRA

AKIRA