たく

ミスター・ノーバディのたくのレビュー・感想・評価

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)
4.0
面白かった!
老人の死に際の回想録が「脳内ニューヨーク」「野いちご」系の話かと思いつつ観ていくと、意外な結末に驚いたね。

人生の不可逆な時間の中で何を選択するのかというのが実存的なテーマになってて、いくつものバタフライ・エフェクトがニモの人生に起こり得たパラレルワールドを展開させていく構成に翻弄される。このバタフライ・エフェクトを起こした張本人が分かるところで全て繋がるのが上手かった。

科学の力で不死を手に入れた人類が老衰で死ぬ最後の人間を番組で観察するっていう設定は、ジャレッド・レトがちょっとジム・キャリーに似てることもあって「トゥルーマン・ショー」を連想。現実の出来事を妄想の中で別の形に変奏するのは「マルホランド・ドライブ」とか「エンジェルウォーズ」だった。

ジャコ・ヴァン・ドルマル監督は「トト・ザ・ヒーロー」が良くて、乳児取り違えからの人生の究極の選択というストーリーがどこか本作にも通ずる気がするし、アスガー・ファルハディ監督の「別離」も連想した。
老けメイクの技術と、それに応えたジャレッド・レトの演技が素晴らしかった。
たく

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