さき姐

ミスター・ノーバディのさき姐のレビュー・感想・評価

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)
-
人生は選択の連続。
その選択において人は往々にして迷いに迷うけど、結局その選択が別の選択と比べてどっちがより悲惨かだなんてわからない。

パパについていく人生
ママについていく人生
多くの困難が待つ本当の恋に身を捧げる人生
妻の遺骨を火星に撒きに行く人生
大きな家と大きなプールのある人生


選択の結果分岐する人生の全てを生きた彼は言いました。

──私の生きたどの人生もが真実だ
──どの道も、正しい道だった

そうか、
人生どの選択も間違っちゃいない。
自分の人生を振り返ったとき、今の自分という結果はこの時のこの選択とあの時のあの選択と...
というふうに点と点とを線にして考えるけど、線を結べるのは過去のことだけ。
未来のことを線にして考えたとしても、だいたいその線は途中でぷつんと切れるもの。
野球選手になろう!と思って思い描いた線が最後まで切れずに野球選手になれる人はどれだけいるでしょう。
あるいはある野球選手は野球選手になる線とは別の線を思い描いていたかもしれません。

選択の意味が判るのは未来になってからだし、未来のことを思っての選択も思い描いた未来に繋がるかどうかは判らない。


──人生には他のどんなことも起こり得ただろう
──それらには同等の意味があったはずだ

どの選択も同じだけの価値をもつ。
だからあんまり迷わなくていいんです。
あの時のこの選択で自分は今どうしようもないく惨めだと思っていても、あの選択をしていてもどうせ別のところで惨めなはず。
そういうのをすっぱいぶどうの論理ていうんでしょうけど、たぶん実際にぶどうはすっぱいと思います。
だからいいんです。
パパについていく人生でも、ママについていく人生でも。

──結局は万事うまくいく。結果が悪くても。


...ひとつ気になったのですが、布袋さんのギターみたいな顔、あれ何だったの?
さき姐

さき姐