おおつか

桜桃の味のおおつかのレビュー・感想・評価

桜桃の味(1997年製作の映画)
4.5
ラストシーンで流れるサマータイム。
あの曲の暗くブルージーな音楽と美しい世界を示す詩のコントラストがこの映画にもある。

土の上に生きる人間と、空を飛ぶ鳥の対比。沈む太陽と雲に隠れる月、校庭を走る子どもたち、楽しかった若い時の思い出、優しい人々。
テーマとして真っ向から自殺を扱っているし、幸福な人物なんて登場しないのに、美しい生の世界がある。

One of these mornings,
you're going to rise up singing.
Then you'll spread your wings.
And you'll take to the sky.
But till that morning,
there's a nothing can harm you
with daddy and mamma standing by.
サマータイムが浮世を生きる人間の子守唄であるように、この映画も同様の作用があるのか、観たあとには安らかな気持ちになった。

あと、死にたい自分を助けてくれとずっとお願いしていたバディさんが、通りがかりの人の写真を撮ってあげるという人助けをした後に、急に生への執着らしきものを感じて走って桑の実おじさんを探す、というシーンが良い。
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