桜桃の味の作品情報・感想・評価

桜桃の味1997年製作の映画)

TA'M E GULIASS

製作国:

上映時間:98分

ジャンル:

4.0

「桜桃の味」に投稿された感想・評価

もしかしたらパルムドールなんて邪魔かもしれません アッバス・キアロスタミ「桜桃の味」

「友だちのうちはどこ?」と同じく主人公の目的はひたすら一本道を歩むように真っすぐです。
寄り道ひとつせずに進んでいるにも関わらず容易には目的を果たせません。
肩の一つでも叩いて「少し考え変えてみないか?」と問いかけたくなります。
が、主人公が聞く耳持たぬのは言うまでもありません。
途中イライラしながらも何たる不思議か?
いつのまにやら主人公と同じように真っすぐ目的を見据えている自分がそこにいます。

「パルムドール」というブランドからこの作品に近づいてきた者には絶対に見えてこない目的です。

まさにキアロスタミワールド
Hero

Heroの感想・評価

5.0
思いつめた男がひとり車に乗りイランの砂塵巻き荒れるジグザグ道を進みながら自殺幇助してくれる人物を探す旅を描いた生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言生きてるだけで丸儲け映画。そこにはCGも無けりゃ特機撮影も無い。制作費なんて2桁、あるいは1桁かも。ゴミを売って故郷に仕送りするもの、若い軍兵、砕石機の見張番、神学生、剥製師。死ぬなよ生きろ、っていう老若男女森羅万象に当てはまるグローバルなテーマをこんなにもローカルな視点かつ単純な手法で撮ってしまうその凄さと映画そのものが持つ本来の意義を再確認。いやむしろローカルにこそグローバルが潜んでいるのではないかと、無いものばっか見てないで今持っているもの大切にしろや、“映画はグリフィスで始まりキアロスタミに終わる”っていうゴダールの言葉が真の意味で理解できたような気がする。人生なんて捉え方次第さ、視点を変えてみろ生きているから死ねるのさ、まぁあとは各々で頑張れや、というメッセージが込められた衝撃のラスト、、、なんて言われているがあれは必然だしキアロスタミは完全に全てを計算して撮っている。だからこそ凄い。ほんまにマジで死ぬほどいい映画。さくらんぼは嫌いだけど明日も生きようと思った。
人間賛歌。老人と話ながら山を下って行くと、味気ない斜面に木々が見え始める。その変遷をワンカットでおさめる手腕は、毎度見事。影の演出も◎
自殺なんかするなよ。こんな美しい風景が見れなくなるぞと言うような映画。
ジェイ

ジェイの感想・評価

5.0
こういう作品に遭遇したときに五感が揺さぶられるような感性を掘り起こしていきたいと思わされた映画でした。

自殺をしようと覚悟を決めた(ように見える)男性の半日。自殺を完遂させるための協力者を探している。もう後には引き返せないと頑なに自分の感情を言葉として表現しようとはしない。彼が何を考え、感じているのかを読み取ることは難しい。
個人的に印象的だったのは、彼の運転するレンジローバーが脱輪して動かなくなってしまったときに周囲にいた農夫たちが何も言わずににこにこしながら近づいてきて手助けをするというシーンだ。彼はそのことに対して窓ガラスも開けずに軽く手を挙げて会釈するだけだ。けれども、この何気無い人の親切心、交流の中にも「桜桃の味」があるように僕には思われた。誰かに迷惑をかけることも、また誰かに優しくしてもらうことも生きている者が享受することのできる特権だ。それらを自らの手で手離しては勿体無い。
序盤はやや退屈に感じていたが、終盤は真っ黒の画面にかじりついていた。しかしその後に見えたのはまたしても現実と虚構のシームレスな世界だった。世界は見る者の視点次第であるということの示唆と世界への慈愛を感じられる時間だった。

きっと見る人のタイミング、状況、年齢などで、感じることは様々なのであろう。折に触れて、苦しいときに再見したい。30歳、40歳、50歳…80歳となって見たときに何が見えるのだろう?
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

3.5
2008/9/7鑑賞(鑑賞メーターより転載)
ひたすら淡々としているので、合わない人はとことん合わないかも。何となく最後の結末の予想はつきつつも、自殺願望の男がいったい何を考え、最後どうするのか、本当に予想したところに行き着いてくれるのかが読めず、目が離せない。あと、ラストが衝撃的というか斬新というか、観る者の考えに委ねるような余韻を残すものだった。
加賀田

加賀田の感想・評価

4.0
車の助手席に座る神学生が「体は神からの賜物です」と言った瞬間に窓の外からの太陽の光がカメラに反射してピカッとなって福音みたいなことが発生した
ENDO

ENDOの感想・評価

4.2
淡々と過ぎていく日常。繰り返しの営みが映画内の繰り返されることで象徴される。

イラン人って優しい。困ってる人がいると、すぐにお茶でも飲むか?オムレツ作ったから食べるか?って優しく声をかける。だが、それに応じない主人公。

レンジ・ローバーで街中を徘徊する男バディは3人の男を山頂に連れ出す。
「今日の夜、穴に入り、薬を飲む。翌朝、穴で返事がなかったから、そのまま土に埋めて欲しい」と。自殺幇助の依頼だったのだ。
クルド人の若い軍人には逃亡され、
アフガニスタン出身の神学生には拒絶され、
博物館に勤めるトルクメン人のバゲリという剥製師は、彼に何とか生きていくよう自分の経験を通して諭すが、結局は子供の白血病の治療のために渋々請け負う。

この映画はずっと車内にいる主人公が何度も何度も同じ道を通り、同じ様に依頼する。しかし、理由は決して明かさず、素性が知れない。何度も断られ、彼は採石場でたたずむが、その影がしだいに砂利によって埋め尽くされ、粉塵にまみれる。

突然車を飛び出したバディは博物館内の彼を探し出し、小石を投げて知らせるよう懇願する。肩を揺すってでも、起こしてくれと。車が出ることで彼の人間性が初めて明るみに出る。

当日、満月によって青みがかる空の下、穴の中に入る。雷鳴が鳴り、画面が明滅する。彼の不安げな顔、そして……。

ラストは現実と虚構をあえて私たちに曝け出し、ルイ・アームストロングのSt. James Infirmaryが鳴り響く。この映画で初めて扇情的に。虚脱感とともに映画は終わる。彼は死を置き忘れ、代わりに実を持って帰ってこれたのか。それは観客に委ねられる。
「生きる」とは何かを考えさせる映画。

観終わった後、明日からも生きていこうと強く思った
なすび

なすびの感想・評価

3.6
うおお、なんか変な映画だった…イランに留学してイランの変なオジサンとかにこの映画オススメされたい…

#九大文系図書館に置いてあるで
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