桜桃の味の紅茶のレビュー・感想・評価

キアロスタミ監督のパルムドール受賞作を鑑賞。土埃が生み出す褐色気味の背景の色合いが美しい。自殺幇助の相手を探る旅。そりゃ簡単に見つかるわけない。死に向かおうとする主人公バディはその旅を通して生を得ていく。エンディングこそ明白な結末ではないものの、もうバディに死にたいという願望が失われていったのは確信できる。観る者に逐一言語化し、映像を使って説明するタイプではないキアロスタミ監督の作品群の中でも真骨頂的な位置付け。