HidekiIshimoto

桜桃の味のHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

桜桃の味(1997年製作の映画)
5.0
ジグザグ道にもちょっと飽きたな4くらいかなとか思ったやつだけど、神のみわざを飽きたとか言うとバチあたって目が潰れて映画観れなくなるので5。初期作で子供中心に撮ってたのは実はイラン政府の規制が厳しかったからだそうで、妨害までされてたそうな。表現弾圧を表現工夫でかいくぐることであのコケル3部作が生まれたのなら、やっぱり神と悪魔はセットな気がする。けど3部作の世界的成功で表現の自由も拡がったはずのキアロスタミが、何故こんな倦み疲れた男の映画を撮ったのか?やっぱりイランそんなに甘くないのか?ならばこれが当時の心境だったこともあり得る。だとしたら何とまあ率直な苦悩告白だろう。軽快な3部作と『風が吹くまま』の間にある暗い影のような作品だけど、そう思うとマンネリのようなジグザグ行も影から抜け出すためのもがきにも思え、あの不思議なラストはとにかく映画を撮り続けるのだという決意表明に思えてきて、やっぱり文句なく5。