イマジンカイザー

ドクター・ドリトルのイマジンカイザーのレビュー・感想・評価

ドクター・ドリトル(2020年製作の映画)
3.9
動物と言葉を交わせる先生を主役とした子ども向けレジャー映画なれど、日本人的には急逝した声優・藤原啓治さんの遺作という意味合いももった複雑な一本。この一つ前の「エンドゲーム」となんら変わらぬ快活な声質で演じられていたこともあり、ますますあの訃報が信じられなくなってくる。

それはさておき本題へ。昨今ジャングル・ブックやライオン・キングとアニメーション作品の動物を擬人化して実写に送り込む映画が増えていて、その経験値が活きた本作は、それぞれの動物の挙動の範疇を超えないながらに人間くさく、そのへんを観ているだけでなかなか楽しい。一部「それはリアリティラインから外れるのでは?」ってのもいましたが、ドリトル先生のやれることを考えると、クライマックスにそういうものが出て来るのも納得か。

しかし、主導したダウニーの影響なのか、開幕時点のドリトル先生のおかれた状況がエンドゲームのトニーに似た境遇になっているのは笑っていいのかどうなのか。トニー・スタークはこっちのセカイで元気にやってるよ、というメッセージみたいなものとして受け取ることにします。

なお、吹替版は作品の性質上順当なのですが、エンドクレジットに主要な動物を演じた吹き替え声優陣が主演のダウニーらと共にローマ字で表記されるという少し珍しい仕様になっておりました。嬉しい半面、主役を演じた藤原さんの名前だけは映画終了後の吹き替えキャスト欄でしか観られないのはちょっと残念。

藤原さんの遺作を観るような気持ちで観に行ったのですが、そういう肩肘を張らずにすっと観られる一本なので、自粛明けの一本に是非。
もっともっと、こういう映画を藤原さんに吹き替えてもらいたかった。