壁の向こうから聞こえる声、
さてこれはリアルか、はたまた自分が正気を失ったのか…
エミリア・クラーク主演ってことで、
彼女が好きな方は観ても損はないかと。
古城で起こる不思議な現象の数々、
母を亡くしたショックから口を利こうとしない少年のケア、
入り混じる妄想と現実、…
ラストはあの感じだと賛否両論あるでしょうけど
全体的にどこか幻想的で、ちょっぴりホラータッチなところだったり
後味が悪いあたりは割と嫌いじゃないです。
主人公である看護師のヴェレーナ役にエミリア・クラーク。
依頼のあったお宅に訪問し住み込みで手助けをしては
経過を観察し手助けが不要と判断できるまで回復したのを見届け
次の依頼者のところへ移動する看護スタイルをとる。
そのため彼女の仕事には”出会い”と”別れ”がセットであり
仕事を繰り返す度に孤独感は強くなるばかり。
そんな彼女の次なる仕事
ーー母親の死を境に話さなくなった少年のケアをするために
少年の父親から依頼を受けロチョーザ城へと向かう。
件の少年 ジェイコブ
ーー7ヵ月と16日話しておらず、
母親が亡くなった日から一言も。
話さない、歌わない、笑わない、泣かない、
文章や絵も拒む。
父親が言うことに反抗はせずとても従順。
過去に雇った看護師たち
最初は自信満々だが
いざ仕事を始めてみるとジェイコブの心を開かせることができず
結局失敗して諦めた例が何件も。
妻 マルヴィーナ
ジェイコブの母親。病死してしまう。
演奏のツアーで世界中を周っては大統領や王室を前に演奏を披露していた大変著名な美人演奏家。
屋敷に仕える使用人たち
ーー初老のアレッシオや老女 リリアの存在。
観てる途中で、もしかしたら…、
ってある憶測が浮かんだのですが
見事ドンピシャでした 笑
注意深く観察すれば割と分かりやすいかもしれません。
住み込みを始めて
しばしジェイコブの様子を観察しヴェレーナが感じたのは
怪我や機能障害の類ではなく
自制による、ある種精神的な作用がとても強く影響していること、
それから、母親を甦らせたい、と強く思っていることも。
”沈黙”が”敬愛”のあらわれだと。
また、ジェイコブが取る奇妙な行動にも気づき始める
ーー壁に耳をくっつけて何かを熱心に聞いている、のだ。
好奇心からヴェレーナも真似したところ
壁の向こうからかすかに聞こえてくる声を聞き取ってしまう。
思い込みなのか、困惑し始めるヴェレーナ、
耳を澄ませば聞こえてくる様々な音、
何かに憑かれたように正気を失っていきとある考えに取り憑かれるヴェレーナ、
美とヴェレーナにみるマルヴィーナの影、
変化する各々の関係性、…
このお屋敷に来たのはもちろん仕事のため。
つまり今回もいつか”別れ”が訪れるはず。
問題はそれがいつなのか…。
ハッピーエンドかバットエンドか…
解釈は人によるでしょうね。