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四月の永い夢のtakuのレビュー・感想・評価

四月の永い夢(2017年製作の映画)
4.3
中川龍太郎監督の『わたしは光をにぎっている』がとても良くて、ずっと見たいと思っていた映画だった。

初美は恋人と死に別れ、それ以来ずっと夢のような「四月」の中にいる。

教師もやめ、下町の蕎麦屋でバイト暮らしをしている。友人に教職の口を利いてもらっても、本人には復職する気がない。
四月に囚われている彼女は、次々と季節が移り変わる社会の外にいる。完全に置いてきぼりになってしまっている。

人生は何かを獲得していくことではなく、失っていくこと。その中で自分自身を発見していくしかない。

初美は最愛の人を失い、職を失った。しかし彼女の現状はその喪失の上に成り立っている。それに気づいた瞬間こそが、四月の夢から醒める時なのかもしれない。


追伸 こちらはもう夏です。暑くってかないませんが、悪くありません。

4月の、夢とも現ともつかないもやの中から、彼女は夏の厳しい暑さへと身を投じていく。
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