そうめん

トップガン マーヴェリックのそうめんのレビュー・感想・評価

4.3
今さらですが、何が大ヒットの要因かを考えた時、映像技術の進化だけでなく、いわゆるハリウッド流シナリオ術の勝利なのではないかと感じました。
ストーリー自体は荒唐無稽にもほどがあります。ですが、超高速テスト機のパイロットになっていたという設定から、かつての友人たちとの関係性から、正しいと思った主張は通す頑固さから、全てをシナリオに紡ぎあげ積み上げられ納得させれらてしまいます。
当然様々なマーケティング的要求もあったでしょう。トム・クルーズがカッコ良くなければならないですし、マッチョな80年代と同じ描き方をしたら共感は得られません。若いチームを鼓舞し愛を注ぎまとめあげ高みへ導く現代の中間マネージャーの鑑のようになり、ついでに恋愛もガツガツせず誘い受けにシフトチェンジ。
時代の違いは、客層の違いでもあります。発生する障害とそのクリア方法を何度も説明していたことにも表れていました。とにかくわかりやすく!そしていつのまにか敵の最新戦闘機には絶対に勝ち目がないことも刷り込まれていますから、登場した時の絶望感たるや。
そして絶体絶命はひっくり返されるために存在するとばかりに、それまで適切に打たれた布石すべてを使いラストにつながります。
こうして、“そんなアホな!”話は理路整然と感動と共感の方程式に組み上がりました。相当議論して練り上げたんだと推測できます。こういうところにアメリカ的なチームで最良の結果を出す極意が息づいているんだろうなあと恐れ入りました。