紅里

金子文子と朴烈/朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキストの紅里のレビュー・感想・評価

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肉体は蝕まれても、投げ出されても、その精神が殺されることはない。人の思想までもを消し去ることはできない。
大学の先生が、私はもう2度と見ないでしょうと言いながら勧めてくれた映画。どんなに重たい映画かと思っていたら、その重さ辛さ、私たちの感じる無力さややるせ無さ、怒り悲しみを、何処までも明るい登場人物達が吸収し、決して映画を重たいだけ苦しいだけに感じさせないようにしているのではないかと思われ、辛さと明るさの混在した不思議な感覚を味わった。
何処までも何処までも苦しい映画だったのに、今私の記憶に残されるのが、当時の日本に対する嫌悪感よりも、そこに恐怖ひとつ感じさせぬ強さで立ち向かった金子文子と朴烈の笑顔なのである。
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