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金子文子と朴烈/朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキストのinuのレビュー・感想・評価

3.6
水野錬太郎を個人的な恨みをもとにレイシズムを正当化する軍国主義者としてこの上なく愚かな人間とすることで、大日本帝国政府のなかで行われる会話をすべてコメディに仕立て上げているのが面白かった。もっと過酷な描き方をしているのかと思ったら、朴烈と金子文子の力強い生き様で物語が明るくなっている。おそらく現実はさらに過酷だっただろう。ほとんど全編が日本語で行われるのに、現代日本で受け入れられる内容でないからか日本語が流暢な韓国人をキャスティングしているのはとても恥ずかしいことだと思った。大日本帝国の歴史をアウフヘーベンできていないも同然じゃないか。日本人としての愛国は天皇の権威を利用し続けた大日本帝国の構造への回帰を求めるものではないことを前提に、日本の加害の歴史を知るうえで極めて有用な映画だと思う。アナキストとはいえ朴や金子の主張は朝鮮へのパトリオシズムを内包するものとして描かれているのは、韓国的な視点が入っているのか?今観る意味のある映画だと思う。
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