暴走メロンパン

寝ても覚めてもの暴走メロンパンのネタバレレビュー・内容・結末

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「高速降りたの?」というセリフは凄まじいスピードで流れていく日々、特に現代の忙しさだったり競争社会だったり、資本主義的な世界で生きる私たちの抱える心に常にある焦燥感だったり、そういうものから「降りる」というメタファとしてとらえられるかなと感じた。また実際に二人とも「降りた」わけなんだけど、渋滞していたり、過疎っていたり、何もそこにはなかったりと、あまり望ましい結果にはなっていないという描き方だった。朝子が粘着質にそれでも亮平を追いかけ続けていくんだろうなっていうイメージは、最後らへんの引きの、緑と川とを撮った風景美シーンで確信に近いものを得た。ここが一番好きだな、シーンとしては。好みの映画でした!

追記 2024/0705

亮平を、妊娠した女優さん(耕助の奥さん)が最後追いかけて倒れ込むっていうシーンがあったと思う。そのときはただ友達として心配で、かわいそうで…という感情なんだろうなと感じていたんだけど、岡崎のお母さんが熱い恋をしていたのは実は夫とは別の人だったとこっそりカミングアウトしたシーンを、今日思い出していろいろ考えていたら、もしかするとあの追いかけていたときの、マヤさん(耕助の奥さん)の気持ちは好きな人を追いかけるときのソレだったのかなって。だって最初はさ、亮平のことが好きそうだったから……。

そんなことを考えてみると、この映画かなり「本当の好き」と「妥協の好き」みたいなものを明暗わけて描いてるような気がしてきて…。その構成(対比関係とか)の巧みさにゾクッとしてる。濱口竜介監督はすごいなって今なってる。まだ彼の映画は2本しか観てないけど。絶対他のも観る!!!