ヒロシー

寝ても覚めてものヒロシーのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
4.0
満を持して商業映画デビューした奇才・濱口竜介。その才能が詰まった一作だと思います。ジョン・カサヴェテスを意識した美しい日常描写とその崩壊、そして最低限度の再生までを描く。前半は相変わらずの会話劇で惹き付ける。演技の議論が始まった時、「出た出た」と思ったのは俺だけじゃないでしょう。『ハッピーアワー』の恐ろしいブーメランの投げ合いを想起させる嫌味たっぷりな台詞の数々。そして幸せな日々が崩壊していく後半、ホラーとも言える怖い展開ですが、それまで丁寧にそれぞれの地域を描いているからこそ、土地の移り変わり、そことリンクする朝子の揺れ動く気持ちがひしひしと感じられる。「『寝ても覚めても』を観て女性不信になってしまうなら、その人は女性と付き合うべきではないのかもしれません。」とまで言い切っただけある。原作のチョイスも、演出も、覚悟が感じられる。
ヒロシー

ヒロシー