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寝ても覚めてものshiのネタバレレビュー・内容・結末

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

朝子のことがすき・きらいなんて、この話の筋には関係がない。これは「目」の話、「見る」話。原作では「見」続けていた朝子が、映画ではよく見られる、被写体になっている。

ここで思い出したのは、写真家、牛腸茂雄のこと。
二度登場する彼の写真展で映るポートレート。彼はごく親しい家族にカメラを向け、そこから少しずつ地元の人や、友人などに目を広げていった。カメラを通して、正面から、被写体を見続ける作家だった。

「朝子の目」は最後、確かに麦を「亮平じゃない」と見たのだ。「麦じゃない」ではなく。それを大きな波の音が後押ししているようで、胸が苦しくなる。素晴らしいと思う。

『親密さ』を観たときから変わらずに、濱口竜介についてゆけば素晴らしいエンディングを見せてくれると、信じてきた。感動的なカットと音とともに。

映画とは、といつも考えさせられる。
これからも、彼の新作を心から楽しみに。
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