TOTTO

寝ても覚めてものTOTTOのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
5.0
一瞬の夢なのか、積み上げられた時間なのか、どっちがどっちなのか。胡蝶の夢的な。
麦との時間と亮平との時間、そのどちらもが刹那的なものにも思えるし、厚みを持った過去にも思える。
視線がかち合う演出が素晴らしかった。
爆竹がはじける出会いの瞬間は言うまでもなく、にわか雨に気を取られた一瞬で彼女が自分を見上げているという上下の視線の動き。天才的。
あとクラブのシーン、回転する朝子と春代の顔が交互に映って、交わらないけど互いに向けられた眼差しが重なっていくようだった。
誰かが誰かを愛する気持ちは終始漠然としか描かれてなかったように思うけれど、そんな中で唯一説明がなされていたと感じるのが、一瞬の躊躇いののち洗剤の付いた手で抱きしめる描写。泣いた。
例の川沿いの奇跡的なロングショットは確かに美しかったけれど、帰れとつっぱねながら同じ方向に歩く→追い越す→逃げるの運動もたまらなかった。
あとこの作品は間違いなく東出昌大のベストだと思う。
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