Panierz

寝ても覚めてものPanierzのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
4.3
生まれてから死ぬまで決して完成されることはない、不完全で歪な感情は言葉では取り繕えても身体では誤魔化すことができない。その不完全な感情の発露となる身体の奔放さを律するのが社会性であり、その超自我的な社会性を揺るがす最大の敵は自然だ。不可逆的な自然災害により善悪の二重性は脅かされ、過去から目を背けるように朝子は亮平との付き合いを始めてしまう。広大な海を目の前にして自分の罪過に気づき、人間と自然を隔てる文明と倫理を夢から醒めたかのように看取していくシーンは象徴的だ。ラストシーンの水位が上がった汚れた川と、それをベランダから眺めながら異様で歪な関係の修復を迫る朝子の狂気のシンメトリーは美しい。
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