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さよならの朝に約束の花をかざろうのdendohのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

岡田麿里の初監督作品。
作品の出来に新海誠が嫉妬したらしいが、そもそも作風的に競合してないから安心して良いと思う(新海作品は男性的フェティシズムをもってしか描けないし、本作は女性的感性がないと作れない)

タイトルを見ると、長命種と短命種の出会いと別れ(会うは別れの始め=サヨナラだけが人生)がテーマかなという印象を抱くし、そこも上手く描けてるなと思うが、しかし作品の根幹ではないと思います!

端的に言えば『女が母親になり、子離れする話』と纏めて良いかもしれない。作中の女性登場人物の多く(記憶する限りはマキア、レイリア、ディタ、ミド、エリアルの生母)は何らかの形で母親としての役割を担わされており、それぞれ苦悩をするも、非常に肯定的に描かれる。
彼女らの圧倒的な母性=バブみに、私のような一般男性視聴者はただただオギャることしか出来ない。実際、作品に登場する男達は、レイリアの母心が理解できずに心中を図るクリムや、政治的な道具としてしか観ない王族達、マキアに母としての立場を優先され間接的にフラれるラング等、とても否定的だったり、そうでなくとも情けない描かれ方がされる。そして権威(というか抑止力を持ちすぎたせいか?核とかミサイル的な)に溺れた男どもにより、国は滅ぶ。しかし命は繋がり、生活は続いていく。実に女性監督にしか描けない作品だと思う。

なお舞台は中世ヨーロッパ風の異世界の話だが、ファンタジー要素はイオルフとレナトぐらいしかない。無駄に凝るとストーリーに集中できないので、2時間の映画作品としては絶妙な塩梅だ。
聞くところによると、既に次回作(アリスとテレスのまぼろし工場)が決まっているとのこと。監督としての岡田麿里、既に細田守は余裕で超えてるので、今後も頑張ってほしい。

忘れてた。PAWorksなので、作画は最高です。ゴチャゴチャした酒場の場面とか、描き込みが細かくて素晴らしい!
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