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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のmasatanのレビュー・感想・評価

4.5
プロジェクトは低所得者向け公共住宅という意味。ディズニーワールドの近くにあるフロリダ・プロジェクトに住む人たちの話。

なぜここに住んでいるのか、なぜ支配人をしているのか、登場人物のバックグラウンドは分からない。
ムーニーは、母親の友達であるヘイリーと一緒に住んでいるんだけど、なぜそうなったのかは分からない。
ただ「大人がこれから泣くかどうか分かる」とか、子ども騙しの大人の嘘を見破るというようなムーニーの言動から、今まで何かあったのかなあって想像できる。

このムーニーとヘイリーはとんでもない母娘で、娘ムーニーは毎日いたずらを仕掛け、支配人ボビーらを困らせる。ヘイリーはニートで、偽物の香水を近くのホテルの駐車場でお客さんに売ったり、その場しのぎの毎日。気にくわないことがあればすぐに手を出す。
唯一の救いは、母親が娘を愛していること。母親はどうしようもない人だけど、娘は母親のことが大好き。側から見れば、完全に児童相談所行きなのだが、ヘイリーのムーニーに対する愛情があるから、支配人ボビーは強制退室させないのかなあと思ったり。

ボビー役のウィレム・デフォーは強面なんだけど、めちゃくちゃ優しい。モーテルの人々をものすごく大事にしてるし、みんなから愛されている。みんなを気にかける表情がすごく印象的だった。思い出しただけでも泣きそう。

ムーニー役のブルックリン・プリンスは未来のスター確定。素晴らしい演技力で、完全に引き込まれた。
ヘイリー役のブリア・ヴィネイトは監督がインスタからスカウトしたアパレルブランドを立ち上げた起業家で、今回が初映画出演。そんなことは全く感じさせない雰囲気だった。



35mmカメラで撮ったインスタグラミーな映像はとても可愛いらしいが、キャラクターは皆何かを抱えて生きている。
フロリダプロジェクトに住む人々が幸せになりますように!
ムーニーや、このモーテルに住む子どもたちがもっとアイスを食べられたらいいなあ
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