このレビューはネタバレを含みます
フロリダの陽光が輝く中で子どもたちの眼差しは毎日キラキラとしていて、カラフルな色で覆われた安モーテルも、地べたを這いつくばるような生活も彼らにはなんら関係ないように映る。
隣にはディズニーワールド。幸せそうな家族達。それは幹線道路を隔てた向こう側。
ヘイリーはあんな格好で仕事見つかるわけないよねえ。
性格も確実に難あるし、働く気あんの?とか思ってしまったりもしつつ、決して正しい方法でないにしろ彼女が親としてムーニーを愛し育てているのはわかる。
だけど、大きな音量で音楽をかけながら一人で風呂に入るムーニーの姿に胸をつまされる。
これが何回も挟まれるので辛いよ。
ムーニーの善悪に欠けた態度、倫理観を誰から学んでいるのか。彼女はどんな大人になっていくのか。
それを考えてしまう。
ウィリアムデフォーは母娘を見守りたいと願うが、彼自身もこの安モーテルの雇われ管理人であり出来ることには限界があるのも切ない。
この塩梅が『お涙頂戴モノ』になっていないところでもあるからクライマックスにただただ項垂れるわたし。
可哀想だけど、仕方ないよなあ。
こうするしかないよなあ。
二人のいく先にはしあわせなんてないような気がするから。
今まで笑顔しか見せなかったムーニーの泣き顔と心からの叫び。
子どもは何にも悪くない…
と絶望していたらラストシーンのあの展開。
目が点。唖然呆然。
事前情報を全く入れずに見ていたものの、ハッシュタグのマジカルエンドという言葉だけは知っていた。
マジカルねえ。
マジカル……
エンドロールのあとしばらく頭を離れないラストを思うとたしかにマジカルなのかもしれない。
ただただ、しんどかったけど。