ちゃんみな

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のちゃんみなのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

社会問題


シングルマザーのヘイリーとその娘ムーニーはモーテルでその日暮らしをしている。同じモーテルに住む他の家族や管理人との関わり合いを描いていく。目線は6歳のムーニー。ムーニーはモーテルに住む友達たちと毎日遊んで暮らす。いたずらばっかりでヘイリーはよく呼び出される。ヘイリーは偽物の香水を売ったり、お風呂にムーニーを置いて客を相手したりしてお金を稼ぐ。ある日それがバレて児童保護の団体がやってきてしまい、ムーニーは連れてかれそうになり友達のところに別れを告げに行ってディズニーに向かって終わり。


ラスト5分めちゃくちゃ泣いた、、、、、ムーニーが友達に会いに行くところ、、、、。


子供の貧困って親が悪いって思われるけど、本当にそうかなあって思ってしまった。確かにじゃあ誰の責任なの?って言われたら親なんだけどさ、ヘイリーだってムーニーと同じように育ってきたとしたら?って考えたらヘイリーだって被害者なんだよ。子供のまま親になってたとしたら?実際ヘイリー見てるといい意味でも悪い意味でも少女っぽくてなんだか胸が苦しくなった。


この貧困は負のスパイラルだし、ムーニーは誰かに引き取られてしっかり教育を受けてこのスパイラルを止めたほうがいいのかもしれない。だって10年経ったらムーニーもヘイリーになることが容易に想像できる。それでも、何より2人が仲良くて、ヘイリーはムーニーをヘイリーなりに守ろうとしているところが胸が痛かった。


当たり前にモーテル1泊を繰り返すより、アパートでも借りて住んだほうが安いに決まってるけど、ヘイリーは定職についてないから借りられない。アシュリーみたいに働けっていったって誰がムーニーをみるの?ってなる。しかも夜まで一生懸命働いてるアシュリーだってモーテル暮らしを最後まで抜けられていない。八方塞がりなんだよね。


映像も美しくて、色彩描写もとっても素敵だった。紫色だったりピンクだったりするカラフルなモーテル。真夏のリゾート地、フロリダ。魔法の国ディズニーランドのすぐそば。そんな綺麗な背景の中で必死に今日を生きる人たち。すぐそこに貧困の問題は''ある''んだってことがよく伝わってきた。


ムーニー役の演技力が半端なくて本当に自然だった。ドキュメンタリーか?ってくらい。泣かされました。


ショーン・ベイカー監督 アメリカ 2017年