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ファミリー・マン ある父の決断/ヘッドハンター・コーリングのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

3.9
難病ものは苦手なんですが、父親役がジェリーのため観ました。しかも子どもが小児白血病だなんて辛いにきまってる。これまたfilmarksのスコア低いのが謎。ただのお涙頂戴ではなく、仕事と家庭の間で板挟みになる父親の苦悩をとても丁寧に描いている良作です。

仕事人間が家庭を顧みず家庭が崩壊する作品は数知れず。あるいは家庭の大切さに気づき、ハードな仕事を手放し、マイホームパパになる作品もありそう。でも現実的には家庭があればどちらも大切。

さて夫は父はこの危機をどう考え乗り越えるのか。

病の息子いわく「たくさんのパパたちを助けるお仕事」とハードワーカーでノルマのキツイ、ヘッドハンターの父を誇りに思っている。

叩き上げのジェリーのライバルは高学歴の若い女性。どちらかを後継者に選ぶと社長から試されている。

女性はコンプラを守る。ジェリーはあらゆる手段を使って勝ち取る。それは社長から教えられたやり方だった。

やり手社長にウィレム・デフォー。クセがあっていい存在感だなあ。仕事一筋、家庭は要らない。代わりに、美女がどこでも手に入れられる自由があるから、というけど、本音は?

設定は高度医療が必要な小児白血病、ノルマキツイヘッドハンターという特殊な設定だけれど、家庭と仕事の板挟みは、景気、不景気関係なく普遍的なテーマに思える。

父親、夫が苦悩して何をどう決めるのか、家族とどう向き合うか、その辺りを仕事、家庭の両軸から丁寧に描いた作品は少ないように思う。とくに、邦画では(私が知らないだけかもだけれど)。

本作ではジェリーが妻に、誰のおかげでこんな暮らしできると思ってんだ!と声を荒げて昭和のお父さんみたいにふんぞりかえるシーンがあって、そういえば邦画のお父さんたちは、妻に威張り散らした後どうなったんだろ、なんて日本と比べて考えてました。
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