ロアー

ミスミソウのロアーのレビュー・感想・評価

ミスミソウ(2017年製作の映画)
3.6
「空白」の監督って「ヒメアノ~ル」の監督だよね。「ヒメアノ~ル」の監督って「ミスミソウ」の監督だよね。

という勘違いで観ました。
この監督、イジメで狂った人間の映画ばっかり撮ってて精神大丈夫なのかなって、余計な心配してなんかごめんなさい。

イジメというかもう序盤から犯罪なので、フィクションなのに本気で怒っちゃう性質の私はとんでもなくイライラし通しでした。
訴訟を起こせ!損害賠償と慰謝料をぶん獲れ!必ず勝てる!という、自分の中の応援の声がうるさかった。

でも、雪に血がブシャー!!と飛び散り始めたので、あ、そっか。これ胸クソイジメ映画じゃなくて面白映画だったんだと気づき、そうなってくるとやり過ぎな描写が楽しかったです。

血が出てギャー!!って騒ぐシーンが、みんな結構上手だったよね。
主犯の子の狂気っぷりもヤバ過ぎて、あの子一体人生何ターンめなの?
とてもよく切れる刃物(もしくは簡単に切れる豆腐製やわやかボディ)や、雪という名の四次元ポケットもおもしろかったです。武器庫にでも繋がってるのかな、あの雪は。いくらでも死体を隠せるし超便利。

ここまでくると、何もせず平凡に学校生活を送って無事卒業できた人たちがとんでもない猛者に思えます。普通が一番強い。
担任の先生にもムカついていたけど、華々しく散ったのでよしとしましょう。

とにかくメンヘラしかいない映画だったので、主人公のおじいちゃんが唯一の癒しのオアシスでした。返り血を浴びて帰ってきた主人公に、今、自分が主人公の立場だったら一番欲しいと思った言葉を言ってくれていて、おじいちゃんホント大好き。

ところでちょうどこれを観た日、人のことをとやかく言う人は自分が不幸だったり暇だったりする人だよねって話をしていたばっかりだったので、暇や不幸がイジメや悪口を生み出すことには同意しかないんですが、生粋の田舎人として一応、何もない田舎でもみんなあんなメンヘラにはならないってことを記しておきます(あそこはきっと学校の水にヤバい何かが入ってるんだ)。

田舎だってちゃんと面白いものはあるんですよ。

・・・食べられる野生の木の実とか。

・・・捕まって登れる頑丈な木の根っことか。

・・・水の気配が全くないところに突然現れる沢ガニとか。

・・・

・・・

・・・

つまり、田舎で育つとメンヘラどころか、逆に永遠の小学校低学年男子の純真な心を持った大人になる可能性も秘めているということです。

殺したりしないから、おいでませ田舎。
ロアー

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