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ミスミソウのとぽとぽのレビュー・感想・評価

ミスミソウ(2017年製作の映画)
4.5
最高すぎるーーーーーーーよすぎた!暗い青春を送った全ての人に送る、ばかりか(作中、池上が言うような)何の娯楽もなく閉塞感漂う田舎で燻ったり苦しんだりして人生に希望も見出だせずウンザリしている人々に送る。皆"とち狂っている"雪上のバトル・ロワイアル開幕!!いじめっ子がたくさん死ぬのでいじめに苦しんでいる人必見。R15の中でもエグい方かなって正直思ったけど本当は中学生にこそ見てほしい、実体験から言うと中学生って残酷な生き物だから。中学生って言っても『ソウ』とかグロいの大好き♪みたいな物事の表層しか掬わずに他人傷付けるのを笑いの種にするような中二病クズじゃなくて、本当に必要な人に。逆に人生ウェイウェイイージーモードみたいな陽キャラの人と、グロに拒絶反応な人にはキツいかも。けどグロやいじめだけじゃない、物語が進めば進むほど色んなテーマを自然と内包していることが分かる。前半は壮絶ないじめ描写に主人公に感情移入して、、それが後半に進むにつれて、どんどん主人公が人間性を奪われてまるで復讐のロボットになっていき、一方で加害者側たちの学校外の生活等が描かれることで感情移入していく。内藤監督のフィルモグラフィーを総括するような面を持ち合わせながら非王道で普遍的。台詞は時によく聞くようなスタンダードなものも多いけど、映像がパキっとして格好良いし、スローモーションもいちいち最高。雪に手を伸ばすときは武器を取るときに決まってるだろ!雪やグロ描写を支えた呉さんお疲れさまです。フレッシュな十代の役者たちの好演が全編通して光るし、作中に出てくる女子陣が皆可愛く美しく魅力的(役は別として)。落とし所が素晴らしい、終わり方が100点。グロいだけじゃなくてピュアネス。余韻がスゴくて良い意味で引きずる、というか現在進行形で引きずっている。もう一回見に行くし、パッケージも買う。
元々の監督が下りて一時は頓挫しかけた所をクランクイン40日前に内藤監督が引き取ったというエピソードからは想像てきないほど研ぎ澄まされた演出や物語(女子の生態に肉薄→女性による脚本&女子のイチャイチャを撮るのが好きor得意な内藤監督の必殺技がこれまでにないほどの意味を持って炸裂)、演技に惹き付けられる圧倒的求心力。恐らく誰も続くことの出来ない、日本映画のパワフル過ぎる新機軸?!大傑作で快挙。☆☆☆☆☆以外のスコアも考えたのたけど、やっぱりこれしかないと思った。初主演の山田杏奈、血似合いすぎて、もののけ姫のサンかと思うくらい。その出で立ちと何とも言えぬ雰囲気が既に主役という大役に相応しく、作中では言葉少なくもしっかりと背負っていた。一貫して優しさを見せつつ、作品の(あるいは内藤監督)の意図を汲み取り体現するような清水尋也の演技は終盤に輝き、間宮役の大友君は本編で少ない笑いを取っていくばかりか舞台挨拶でも場をさらっていっていた。というか本編内の間宮役のときこそポスト綾野剛みたいな髪型をしつつ、実は一番陰キャラぽい雰囲気で、それもまた魅力。担任役と大塚れなスゴすぎ。演技初とは思えぬカリスマ性を放つ大谷さんは既に広瀬すずばりの貫禄・異彩をスクリーンからだけでなく舞台挨拶でも際立つ存在だった。けど、それも全ては前半にイジメっ子集団の"その他大勢"が画一的でなくそれぞれにしっかりと個性を出していたからこそ光ったというのもあるかも。きっと大谷さんもそこに刺激を受けたはず。学校行きたくなくなるような前半から怒涛壮絶容赦なく問答無用の中盤・終盤でたえちゃん・大谷さんに恋して、最後には教室や校庭を今一度走り回りたくなるという意外性。

ああやって自分より若い世代とか同じくらいの歳の人たちが活躍しているのを見ると無性に苦しくなる、自分何してるんだろうって。
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