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OVER DRIVEのlptsのレビュー・感想・評価

OVER DRIVE(2018年製作の映画)
3.8
「手に汗握る」

 世の中にあるすべてのレースの醍醐味は、手に汗握る接戦を見ることだと、自分は思っている。そして、レース映画というのは、誰も予想できないレース展開を固唾を飲んで見守り、決着がついた瞬間、あらゆる感情が爆発するところに良さがある。しかし、本作はレース映画でありながら、この醍醐味や良さが全くないのだ。本作の最終レースまでの描写は、とても丁寧だったと思う。各地で行われたレースの順位やポイントの結果を示し、メカニックのコンマ一秒でも短くしたいという想い。このような最終レースを盛り上げるための要素を各所に散りばめながら、いざ最終レースに突入するのだが、本作の最後のレースはまるでハイライトのようなつくりなのだ。本作で一番丁寧に時間をかけて描かなければならないレースを、サラッと終わらせてしまうのは、あまりにも詰めが甘い。途中で制作資金が尽きたのかどうかは知らないが、最後のレースはあと10分は長く尺を費やすべきだった。

「真剣佑と車」

 正直、邦画の悪いところがいくつか出てしまったなと思う映画だったが、見どころはしっかりあった。

 本作の見どころはとにかく「真剣佑」なのだ。彼の魅力をいかんなく引き出した監督の手腕に拍手を送りたい。彼はルックスもさることながら身体が素晴らしい。やはり、鍛え上げられた身体の迫力というのは、服を着ていたとしても、観客に伝わってくる。「孤狼の血」を観たときも思ったが、日本人俳優はあまりにも線が細い。「身体づくり」に対しての意識が低すぎる。自分は、本作の真剣佑のような身体が、日本人俳優のスタンダードになることを願っている。そうじゃないと、一生韓国映画には勝てない。 

 次に良かったのがカーレースの臨場感。車を扱った邦画をほとんど観たことがない自分を、十分驚かしてくれるクオリティだった。特に本作で凄いと思ったのが、CGを使ってレースを再現してるシーンの違和感の無さ。自分は鑑賞前、実物の車を使ったシーンと、CGで再現したシーンの、明らかな迫力の違いで冷めてしまうだろうなと思っていた。しかし、本作のCGを駆使したレース場面は、本物と遜色ない迫力をもったものとなっていた。この一連のカーレースの臨場感と、身体全体を揺らすほどのエンジン音は、映画館でないと絶対に体感できないので、劇場で観ることをおすすめします。

 
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