caramel

ビール・ストリートの恋人たちのcaramelのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

1970年代 いまよりもさらに差別への無理解が当たり前のようにあった時代(本当にそうか?と問いたい気持ちもあるけれど)

無実の罪に問われた青年と、その妻となる幼なじみの女性。
彼が事件に巻き込まれ、ほぼ同じタイミングで彼女が妊娠。過酷な運命に翻弄される恋人たちが描かれる。

救いなのは、ティッシュの家族に理解があり、ティッシュのお父さん、お母さん、お姉さんがふたりにとても協力的なこと。
一方、ファニー(アロンゾ)の家族は家族で問題を抱えているし、母親はティッシュを快く思っていないし、「肌の色では括れない」ことが冒頭で改めて描かれる。

さらに、ファニーのアリバイに関わる友人が暴力によって利用されたり(彼には前科がある設定で、真犯人側はそれを利用するし、その以前の実体験こそがその友人やファニーがあきらめを受け入れざるを得ないことの説得力にもなっている)
ため息の出るような悪しきループに、はじめて触れるものではないにしても、やはり息苦しさを感じてしまう。

ちなみに、いま書いたように、ストーリーとして目新しさを感じるものはあまりない。個人的には、結局プエルトリコに行くための資金を犯罪で得ていたりするところで、いまいち入りきれない作品だったりしました。

それでも、重いストーリーを見やすくさえする(軽んじるわけではない)バリー・ジェンキンス監督特有の色づかいと美しさにはやはり惹かれずにはいられない。
イエローとブルーの美しさ、ティッシュとファニーがふたりで仲良くもつ小さな赤い傘の鮮やかさ。
そして生命力を湛えたふたりの肌のつややかさと美しさ。
対する卑劣な白人警官の薄気味悪い顔色の悪さ(ふたりを庇う白人老婆や友人はきちんと気味悪くなく描かれているので差別ではないこともきちんとわかります)。

そして改めて振り返ると、要所で手を差し伸べてくれるの人たちは肌の色など関係なく、主人公たちと同じ肌の色の人たちでも酷い発言はあったしで、見ている間は気にならないほどそのあたりもうまく描かれていたと思います。

あと、私の中で近年キャシアンですっかり良いイメージになっていた(彼を最初に見たMILKの役も、かわいくて好きだったし)ディエゴ・ルナが〜!!出番は少ないけど圧倒的に最悪な警官役で最高ですね。

そして意思は強いながらまだ若さゆえに頼りなげでかわいく、まわりが助けたくなるティッシュを演じたキキ・レインがとても素晴らしい。

滑り込みだったけど、スクリーンで見れて良かったです
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