hitomi

ビール・ストリートの恋人たちのhitomiのレビュー・感想・評価

3.5
ずっと観たくて観る機会がなくて、名画座でやっと鑑賞。原題がささるなあ

美しくて、素敵な作品。憎しみは前面に押し出すのではなく、奥底でわたしたちの心を蝕んでいく。ふつふつと怒りが込み上げ、ある一点を超えるとそれが諦めに変わってしまう。悔しくて悔しくて、どうにかしたいのにどうにもならない気持ち。

彼らの人生をまるで自分が経験しているような気持ちになる。
不条理なことに対して意を唱え、戦うことはすごくかっこいい。でも、心のどこかでそれは「わたし」ではないと感じてしまうことって多い。その点で、この作品は間違いなく「わたし」の作品だった。愛おしくも淡々と過ぎていく毎日の中に、社会に蔓延る苦しみや憎しみを感じる。
わたしたちが社会を変えることはできないけれど、これが社会なのだと感じる。良くも悪くも。これは諦めか真実か。

なんだか頭の整理ができておらず、もやもやした気分。いい意味での。
同時上映の作品も観たかったけれど、今はもういっぱいいっぱいなのでこれだけで映画館を後にしました。
たくさん考えよう。考えなければならない。美しくも強いメッセージのある作品でした。
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