Ryo

スリー・ビルボードのRyoのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
3.8
■エビングという実在しない町。
エビングは衰退するという意味。南部を意味した街がダメになっていく様を表している。

■ディクソンという男
この男が聞いている歌はABBAのチキチータ。アメリカでは一般的にゲイから好かれる歌があってABBAはその1人で、チキチータは悲しみを隠す人への歌。ここからディクソンはゲイだと示唆できるようになっています。
そしてなぜディクソンはいつもイライラしてるのか?差別的な町でゲイに対する理解がなく自分がゲイということがばれて差別されない為に黒人や女性を差別するという男性主義的な警官を演じている悲しい男なのです。

■怒りと炎
主人公の娘はガソリンを撒かれ火をつけられて殺されました。それに対し主人公は真っ赤なビルボードを建てるとそれもまた炎によって焼き尽くされる。主人公はそれを怒りを持って火炎瓶で対抗するという炎によって相手に報復をしている

■「暴力こそ神の与えた恵みなり」
フラナリーオコナーは上記のような言葉を残しています。善人はなかなかいないという小説の中で脱獄囚によっておばあちゃんは殺される前に神を見ます。
「私の作品では主人公は神から直接の語りかけられる準備として暴力を使用している。人物の頭は非常に硬くて暴力以外に効き目のある方法はなさそうだ」と言っている。

ディクソンは暴力を受け、神の恩寵を受け変わっていった。

■鹿の意味は?
あの鹿は死んだ娘を表しギリシャ神話に基づいています。
そのギリシャ神話では王様が戦争に行く際なかなか風が出ず船を出港させれなかった。どうにか出港させるために娘を生贄に捧げようとする。しかしその時鹿と娘を取り替え神に捧げた。それは聖なる鹿と言われ娘と鹿は同一視されたのだ

■なぜあの小人を差別の対象者として出したのか?
これは監督の影響されている映画「赤い影」をやりたかったのかもしれません。小人によってとどめを刺される事で最後主人公は神の恩寵を受け変わる。

■あの犯人だと思われた男は?
結局犯人だと思われた男は犯行当時この街にはいなく軍人としてイラクにいました。そこで行われたレイプや女を焼いたというのは実話であり、イラク戦争の際14歳の女の子を強姦した後家族もろともガソリンで焼いたという事実がある。
「砂の多いところだ」というセリフにはこの意味が込められています。
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