Masato

スリー・ビルボードのMasatoのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.6
東京国際映画祭にて

トロント国際映画祭で観客賞、ヴェネツィア国際映画祭では脚本賞を受賞した本作。
できるだけ前情報を遮断して行ったほうが良いです。(このレビューもできれば見ない方が面白く見れる)

あらすじに「予想外の方向へ向かう」と書いてあるが、まさにそうです。ヴェネツィアで脚本賞を受賞しただけのことはあります。主人公は娘の死でおかしくなっていて、何をしでかすか全くもってわからない。そして、最初に抱いていた様々な印象をことごとく変えてきて、その変化が映画に深みと面白みを持たせているところがすごい。素晴らしい脚本です。あっという間の115分だった。もっと見たい。

IMDbにComedyとジャンル分けされているように、この映画は全体に笑いの要素が散りばめられています。一定間隔で笑わせてきますので、非常に面白かった。フランセスマクドーマンド演じる主人公が復讐に囚われていて恐怖心を抱かせるものの、ある側面では滑稽に描いているのが非常にブラックなコメディで面白い。

監督のマーティンマクドナーはイギリスの方だそうです。本作は主人公にアメリカそのものを象徴とさせているような気がしました。
主人公の復讐に囚われている姿はどこかアメリカと重なってくる。根拠が定まらないうちに報復してしまうのも、まさにアメリカそのもののように見えます。
しかし、怒りは結果として何も生まない。本当に必要なのは「愛」ということを教えてくれます。そして、人は見かけで判断できなく、堕落してしまっても人はいつでも変われるものだとも教えてくれる。実は結構胸に突き刺さる話だったりします。

キャストの迫真の演技力にも注目。フランセスマクドーマンドとウディハレルソン、サムロックウェル、ケイレブ・ランドリージョーンズ。この4人の演技は素晴らしかった。
キャスティング力なのか、俳優自体の印象を効果的に使っていたところが秀逸。
ネトフリ限定の「ベビーシッター」で最高にホットな美女を演じたサマラウィーヴィングも出ています。

ものすごい小ネタが効いていて、町山さんの解説と映画マニアの情報がないとわからないものが多かった。
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