歌代

スリー・ビルボードの歌代のレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.1
見終わってからすぐ感想を書きたくなったけどとりとめない文章しか書けず、2日ずっと考えてた。やっとまとまった。

この映画は「こういう映画だろう」という姿勢で観に来た観客をとことん困らせる。
トレイラーで知ったミルドレッドというキャラクターにある種の期待(こういうキャラに対するなんとなくのイメージ)を持って、また、この映画のテーマをなんとなく予想してから観にいった自分はその1人です。やられました。
途中から「あれ?様子がおかしいぞ」と思った時には既に遅し。
予想外の展開に引き込まれ、結局観終わって残ったのは凄いものを体験した感覚とそれを理解できてないというもやもや感でした。

そして1日経って「この映画は3枚の看板をモチーフに3人の登場人物を描いている」ということに気づいてからようやくこの映画に対するあらゆるモヤモヤに納得がいった。
(というか自分はこんな主要テーマすらゆ見えなくなるほど入り込んでしまってたんだな)
さらに、映画評論家の町山智浩さんのラジオでの解説にあった3人のキャラクターのテーマソングの意味を聴いて映画をもう一度見直したくなった。なるほど!!!
ミルドレッドが女版クリントイーストウッドっていうのは笑った。

この映画はシリアスとコメディが最近ではあまりみない比率のバランス感をしていて、それがまた凄い。
笑えるシーンもあり、また、心動かされる場面もあり、でも次に何が起こるかわからない緊張感が心臓を握ってる感じ。
上映が終わったあと、理解したしてないに関わらず「凄いものを見た」という興奮は約束できる。
事件性すら感じる。
2018年始まったばかりだけど間違いなく年末まで引きずる映画だと思う。
面白かった。

最後に。
これは観た人にしか絶対伝わらないからネタバレにしないんだけど、ラストシーンのやりとりはディクソンにとってのオレンジジュースなんですね。多分観てない人はナンノコッチャって思うはず。
だけどこれに気づいてもやもやは消えました。

もう一回は観よう。
歌代

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