この映画を形容するのに、リアルだ、などという言葉はふさわしくないだろう。
ここで描かれていることは、昨日のわたしに起こった、明日のわたしに起こりうるかもしれない、現実である。
生きている娘に最後に吐いた言葉。一生つきまとうであろう後悔。
行動を起こす主人公の足を引っ張るしか能がない愚か者たちにフラストレーションが溜まるかと思いきや、母ミルドレッドは強し。
警察署に火炎瓶を投げつけるこのイカレ女のお陰で鬱屈とした気分にならず鑑賞できる。
皆それぞれ正義と悪を抱えている。
重厚な人間ドラマを、重いテーマを、俳優たちの素晴らしい演技と軽妙な脚本で描ききった濃密な2時間。
にしてもこんな町絶対住みたくないな。常識人が広告屋のお兄ちゃんだけじゃん…。
オレンジジュースのシーンが好き。