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スリー・ビルボードのqudanのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.0
予告編を観てハートウォーミングな作品かと思いきや、アウトレイジな一品。

主人公含め登場人物の白人が全員クソなのが趣深い。(有色人種やミゼットは分かりやすく善人として描かれている)
かと言って分かりやすい悪人がいるわけではなく、それぞれが自分の「正義」に従っているからこそ、現実的で頭の痛い作品に仕上がっている。

物語は登場人物の「怒り」が「怒り」を呼んで進展していくのだが、思慮の浅い八つ当たりのような幾つかの行動には驚きこそあれ、爽快感はなく精神的にキツい。サスペンスとしては次に何が起こるか期待して面白いんだけど。

ラスト、いがみ合っていた主人公と若い警官2人の心の距離が近づいて良い雰囲気にも見えるが、共通の「敵」を見つけただけで「怒り」による行動には変わりない。

作品中ではこの「怒り」の行末を明らかにしていない。
振り上げた拳の収めどころは、映画を観た人それぞれに委ねている。
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