あでゆ

スリー・ビルボードのあでゆのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.1
ミズーリ州の田舎町。7か月ほど前に娘を殺されたミルドレッドは、犯人を逮捕できない警察に苛立ち、警察を批判する3枚の広告看板を設置する。彼女は、警察署長を尊敬する彼の部下や町の人々に脅されても、決して屈しなかった。やがて事態は思わぬ方へ動き始める。

非常にもやもやした映画。小さな村の中で繋がっているようで繋がっていなかった人々が、騒動を通してお互いに傷つき、それでも何故か繋がっていく話。
『マザー!』と同様に宗教的な背景に結びついた話で、馬小屋で死んだ所長の遺言が、二人の人間を突き動かしていき、最終的に愛を獲得する。この遺言の手紙は聖書だろう。序盤でカトリックの神父がこき下ろされていくが、この世界にとって神は無情だが(セリフでも言及がある)、それは署長という神がいることで救われていく。

主人公も手段を選ばないようで、観ているうちに同情や恐怖みたいな感情がちゃんとあることがわかるというのは、演技力の賜物だろう。

本作には状況を90°一変させる描写が常に付きまとう。一番始めは所長の自殺、そして窓に投げられるレッド。ここでクズ警官が公認の黒人にクビにさせられるシーンは溜飲が下がる。しかし、その後の火炎瓶のシーンである。
復讐の連鎖が続いていくが、そこにレッドの一杯のオレンジジュースが終止符を打つ。だけど彼の命をかけた行動は報われないって、一体どういう話なんだよ……。
音楽も印象的で、窓から投げ落とすシーンと火事のときにかかる宗教的にも感じる音楽は調べる必要があるだろうな。ラストにかかる西部劇風のテーマも一触即発の事態を象徴している。

主人公が破滅的すぎて、残っている息子の方を省みないっていうのがちょっと説得力にかけるというか、そっちを大事にしてあげてよという気持ちが拭えない。
小男が女を好きな理由と、19歳の女が男を好きな理由がいまいちわからなかったのも腑に落ちなかった。
アビー・コーニッシュ久々に見たけどかわいい。
あでゆ

あでゆ