このレビューはネタバレを含みます
何が正しくて何が間違っているのか、その判断は時に野暮である。人の本心は本人が伝えようとしなければ他人にはほとんど伝わらない。
暴行され殺された娘の母親の「怒り」がテーマだが、物語は重く鬱々しいだけでなく、ディクソンやペネロープのコントじみた言動にクスッときたり、ウィロビーとミルドレッドの絆にじんわりきたり、ジェームズの恋路に切なくなったりと、様々なヒューマンドラマが練りこまれており、視聴後は不思議な温かさが胸に広がった。
数々の魅力的なシーンやセリフがある中、私が特に印象に残ったのは雌鹿のシーン。
「あなた、なんでここにいるの」と鹿に優しく微笑みかけるミルドレッドの中に巣食う苦悩が、痛々しく悲しい。
あの後ミルドレッドとディクソンがアイダホで何を行うのかは想像するしかないが、あの2人ならきちんとやるべきことをやり遂げるだろう。「味方」がいる2人はお互い心強いに違いない。