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スリー・ビルボードのCUのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
5.0
娘をレイプ殺人で殺された母親が、警察の怠慢捜査に怒りをぶつける物語。3枚の立て看板を使って警察への怒りを表明するところから話は始まる…

とにかく母親の怒りが凄い!怒りをどんどんぶちまけていく姿が凄い!あんな風に怒りをぶちまけられたら、どんなに気持ちいいだろうと思ってしまう。

ただこの話、単に母親の怒りがテーマなだけではない。社会的マイノリティに属する人々がいろいろ出てくる。

でも母親はそういう人々と手を結びそうで結ばない。そこがすごくリアルだ。娘が殺された問題を社会に返さない。あくまでも個別の問題として片づけようとする。

もし母親がマイノリティの人々と手を結んで集団を形成し、娘の事件を社会問題という大義にすり替えたなら、観ている私はきっと興醒しただろう。

自分の怒りはあくまでも自分のものとする母親の覚悟を私は尊重する。

だからこその結末。怒りをぶちまけて、怒りのボルテージが下がってきた時にとった母親の行動は素直で正直だった。

怒りは一時的なエネルギーの暴発をもたらすが、しかし使い果たしてしまえば持続はしない。怒りという感情が持つ特性を良く理解した、素晴らしい映画である。
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