事前情報なく適当に選んでみたところめちゃくちゃいい映画だった
ストーリーとしては、誘拐された子どもが嘘の情報で洗脳され、地下シェルターに監禁されていて、成人してから急に救出されるんだけど、本物の家族のところに戻ったところから、失った歳月をうめるかのようにさまざまな体験をしていくというもの
さらに、主人公の青年は、熊の教育番組ブリグズリーベアだけが唯一の楽しみなんだけど、実はその番組すらも誘拐犯の親が自作自演をしていたニセ番組で、すべては嘘だったというのが物語の冒頭
ここだけ聞くとものすごい深刻なカルト的な話になってしまうんだけど、実はこの映画ってものすごいハートフルな作品
出てくる人がみんな優しい人で、本当に悪い人がぜんぜんいないので、すごくあたたかい気持ちになる
あと基本的にはコメディ映画ではあるので、けっこう笑えるところもある
一方で自分としてはけっこう泣ける部分も多くて、「こんな映画があったのか!」とすごく驚かされる気持ちになった
あとマークハミルが重要な役で出てきてスターウォーズのオマージュをやったりするので、そこもけっこう面白い
有名な人が出てくる感じの映画ではないので、マークハミルの存在感がこの映画の風格をなんとなくあげているような感じがした
個人的な感想としては、自分はけっこうアイライクムービーズに近いなと感じて、むしろこっちの方がアイライクムービーズって言われたときにもっとしっくりくるかもしれないなとか思ってしまった
あちらは映画づくりの要素もありつつ、バイト先の職場っていうのがひとつの舞台で、もっと現実味のある感じ
それに対して、こちらの方がちょっと嘘っぽい話ではありながらも、映画づくりを通して物事が好転していく感じの展開にはストーリーとしての明確さが感じられるので、「映画っていいなあ」というようなところにストレートに到達することができた
(だけど自分はアイライクムービーズのみる人によっては何も感情移入できない感じとかむしろイライラするくらいの感じとかが逆にすきなのであちらの方がこじれていていいなと思っちゃうけど)
なにより、自作自演の教育番組っていうものが、明らかに奇妙な題材なんだけど、なんかグッとくるなと感じてしまったんだよね
子どもに楽しくて成長のきっかけにもなるようなものを見せたいという、偽りの中であってもせめて親でありたいという強い思いというか、いびつで純粋な「親になることに対する渇望」というか、なんかそういうことを感じてしまったのよね
だから、オタク青年が好きなことを通じて社会にコミットしていく話でもあるのに、親になれない親がなんとか親になろうとする話でもあって、子どもがいる人にもいない人にもどちらにも感じるものがありそうな映画なので、すごく独特でいい映画だなと感じた
これはぜひ人にも勧めたい