カラン

アルカディアのカランのレビュー・感想・評価

アルカディア(2017年製作の映画)
4.0
宗教コミューンで育てられた兄弟が、教団から離脱してマスコミに気狂いぶりをアピールしたが、弟が戻りたいと言い始める。

ジャスティン・ベンソン(1983生まれ)とアーロン・ムーアヘッド(1987生まれ)の2人が監督にクレジットされているが、前者は脚本を、後者は撮影監督を務め、両者で製作と編集をして、主演もしているというコンビである。

本作の興収は100万ドルに満たなかったようだ。自前でやっているので出費は抑えられるにしても、利益どころか、たぶん借金してるのじゃないかと。

兄弟役なのだが、2人はまるで似ていない。せめて髪の色くらい同じにして、同じカラコンするとかさ、脚本も自分で弄れるのであれば、兄弟である必然性はほとんど描かれていないのだから、同じ宗教コミューンで兄弟のように育ったということで十分だし、その方が自然であろう。また、2人とも演技はあまり良くない。(^^) 表情が固いので門切り型な反応をしがちであるし、ジョディ・フォスターのような役者の場合には1つのアクションから要素を10個くらい分析的に取り出せるとしたら、彼らは1個かな。(^^) CGも多用したりと手間のかかる映画なのに、役所が多過ぎなんだよ。監督はビューファインダーとメガホン持ってチーム全体をチェックしてないとね。

文句が多くなったが、まずまず面白い。ループなんだけど、まったりしていて、フィールドの移動が多いのは楽しい。

アリ・アスターの『ミッドサマー』(2019)と関連しているのではないか。この映画はアメリカからスウェーデンに向かうのにそこそこ時間をかけていたが、非日常への移動は結構難しいのだと思う。本作の場合は、2人なのだから、最初のつまらないやり取りはやめて、車での移動を長くしたら良かったかもね。

『ミッドサマー』の森の中のコミューンで、スペイン映画の『タイムクライムス』(2007)をまったりやっている感じである。タイムループのネタ元は『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)ではないか。ループと画家が描いた獣のヴィジュアルとかね、まるっきりな感じがした。まったり田舎で悪無限ループで、あまりはらはらしない展開である。怖くもない。スローなところが好きだ。だから、特に兄役のジャスティン・ベンソンが目を丸くしたりするのがオーバーで邪魔だった。ラストも本当にエンドレスにする勇気があっても良かった。

弟が戻りたいと言い始めて、1日だけという約束で行ってみると、もう1日、さらに1日と弟がせがんでくる。ところで弟は兄を恨んでいる。なぜなら「リスペクトがない」から。しかし兄は十分に弟の意見をリスペクトしていることになる。この辺の脚本の骨格がぐらついているのが、すぐ見てとれてしまうレベルなので、なんとかしないと傑作にはならない。


REDのデジタルカメラで撮影したようだ。合成しても画面が曇って汚くなっていない。なかなかいい。サウンドもいい。


レンタルDVD。55円宅配GEO、20分の15。
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